2017-02

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神風特別攻撃隊「神武隊」

 『神武特別攻撃隊』とは、「比島沖海戦」後の昭和19年11月15日付で再建された、連合艦隊直属の第一航空戦隊・第六〇一海軍航空隊において、編成された特別攻撃隊である。
 この部隊は洋上において航空母艦を発艦し、敵機動部隊に対して体当たり攻撃を行う特別攻撃隊である。

 「マリアナ沖海戦」「比島沖海戦」の二つの大敗北により、大きな痛手を被った日本海軍の航空部隊は、通常攻撃ではもはや強大なアメリカの機動部隊(タスクフォース)に太刀打ち出来なくなるほど、艦隊および基地航空隊の戦力が低下していた。
 そこで、その劣勢を挽回するための非常手段が「神風特別攻撃隊」であった。この攻撃隊は、零式艦上戦闘機に250㌔爆弾を搭載し、アメリカ海軍の航空母艦に体当たりして、一機一艦を屠る、という必死(決死ではない!)の航空攻撃作戦である。
 発案者といわれている大西瀧治郎海軍中将が漏らした「統率の外道」であるこの航空作戦(もはや作戦というべきものではないが・・・)に、敗戦まで日本海軍航空部隊は狂奔する。詳しい経緯については別項(未作成)を設けここでは詳細に述べないが、それは、海軍の精鋭部隊である艦隊航空隊においても同様であった。
以下はその苦闘の記録である。

【注】ここに掲載されているものは、筆者が独自に調査した事項で、国、公的機関もしくはその他文献や資料等と見解を相違する場合がありますが、それはすべて筆者に責任があります。また、引用や参考文献のリストは、本稿末に記載します。

昭和19年11月
 戦闘爆撃隊、直掩戦闘機隊、艦上爆撃隊よりなる特別攻撃隊「K」部隊が、愛媛県松山基地において再建・錬成中の第一航空艦隊所属第六〇一航空隊により担当編成された。
 航空母艦「天城」に搭載され、洋上より発進、敵機動部隊を奇襲する特別攻撃を想定し訓練に当たったが、作戦上問題点が多く作戦は中止された。

昭和19年12月10日付
特別攻撃隊「K」部隊として、松山基地の第六〇一航空隊にて錬成中、フィリピン派遣部隊として戦闘爆撃機12機、直掩戦闘機12機、誘導機6機、計30機、36名(ほかに予備機零戦6機)を編成。
同隊は「神武特別攻撃隊」と命名される。

「神武特別攻撃隊」
戦爆隊 零式艦上戦闘機52型乙12機 12名 
青野 豊大尉 (海兵70期)
中尾邦為中尉(予備13前期)
綿引芳男中尉(予備13前期)
作田 博上飛曹
伊藤勝美上飛曹(乙飛11期)
串原麟八上飛曹(乙飛12期)
真崎義男上飛曹(乙飛12期)
南里昭敏上飛曹(甲飛8期)
山田正文上飛曹(乙飛16期)
和田可臣飛長  (特乙2期)
 その他2名は氏名不詳(調査未完)

直掩隊 零式艦上戦闘機52型甲12機 12名
藤田 昇中尉 (海兵72期)
土屋  上飛曹
和才嘉信上飛曹(甲飛10期)
内海勝美一飛曹
小玉酉治上飛曹(甲飛8期)
中島三郎上飛曹(甲飛10期)
宮下常信上飛曹(甲飛10期)
加藤孝雄上飛曹
 その他4名は氏名不詳(調査未完)

誘導隊 艦上爆撃機「彗星」6機 12名
松本 中尉
床尾勝彦中尉 (海兵72期・操)
多田恒雄上飛曹(甲飛9期・偵)
奥井一郎上飛曹(甲飛9期・偵)
高橋要次郎一飛曹
坂田  上飛曹
五島 薫 上飛曹
軽部哲夫飛曹長(甲飛2期・偵)
石井 隆上飛曹(乙飛16期・操)
 その他3名氏名不詳(調査未完)

予備機輸送 6(4?)機 6(4?)名
岩下泉蔵中尉 (海兵72期)
梅林義輝上飛曹(甲飛10期)
池田速雄一飛曹(丙飛13期)
 その他3(1?)名氏名不詳(調査未完)


昭和19年12月16日
1000「神武特別攻撃隊」は、松山基地を出撃。
爆装隊は零戦52型乙、直掩隊は零戦52型甲を使用、使用機種には無線機、クルシー無線帰投装置、着艦フック等を完全装備された。
また、誘導隊は艦上爆撃機「彗星」(二式艦上偵察機?=要調査)を使用。


昭和19年12月21日
「神武特別攻撃隊」は、上海・竜華基地、台湾・台南基地を経由し、フィリピン・ルソン島マバラカット西基地に進出。

第一航空艦隊/第二〇一航空隊に編入され、基地上空哨戒、船団護衛任務につく。
    
12月22日現在、台中基地に中島上飛曹機がエンジン不調で残留、和才上飛曹機も不時着(場所不明)

昭和19年12月24日
「神武特別攻撃隊」は、神風特別攻撃隊「金剛隊」として再編成され特攻出撃する。

「第十三金剛隊」
0710 第一隊の青野大尉以下爆戦4機と直掩機4機、第二隊の伊藤勝美上飛曹以下爆戦4機、直掩4機がマバラカットを発進し、マニラの78度138浬の米機動部隊攻撃に向かうが、敵影を見ず引き返す。


昭和19年12月31日
「第十六金剛隊」
0710 第一小隊の青野大尉以下爆戦4機、直掩機3機、誘導の彗星1機。第二小隊の伊藤上飛曹以下爆戦4機、直掩機3機、誘導の彗星1機はマバラカット基地を発進。

「第十七金剛隊」
0715 綿引芳男中尉以下の爆戦4機、直掩3機、誘導の彗星1機がニコルス基地を発進。

 それぞれがマニラの88度200浬の米機動部隊攻撃に向かうが、米艦隊を発見できず、帰還。


昭和20年1月1日
戦死者=中島三郎上等飛行兵曹(甲飛10期)マバラカット西基地において、B24爆撃機20数機の攻撃を受け、防空壕に待機中至近弾により戦死。

昭和20年1月5日
「第十九金剛隊」
【編成[筆者注:推測]】
爆装零戦15機/直掩零戦2機
第一区隊
第一隊
 一番機 青野豊大尉
 二番機 真崎義男上飛曹
 三番機 串原麟八上飛曹
 四番機 青野国輝一飛曹
第二隊
 一番機 伊藤勝美上飛曹
 二番機 和田可臣飛長
 三番機 後藤喜一上飛曹
 四番機 山田正文上飛曹

第二区隊
第一隊
 一番機 福山正通中尉
 二番機 富沢幸光中尉
 三番機 永富雅夫中尉
 四番機 黒木典次二飛曹
第二隊
 一番機 山下省治中尉
 二番機 磯部豊中尉
 三番機 浜砂良一一飛曹

直掩隊
 一番機 真鍋秀信上飛曹
 二番機 高橋良生上飛曹

【経過】
1125 マバラカット基地を発進。
 リンガエン湾口の戦艦2隻、巡洋艦、駆逐艦各5~6隻、湾中央の小型輸送船および駆逐艦、計40隻からなる艦隊を発見。
 攻撃を敢行、巡洋艦1隻大破炎上、輸送船4隻を撃破した。
 後藤喜一上飛曹は、小型輸送船、上陸用舟艇30隻に対して、爆弾を投下したのちマバラカット基地に帰還。
 浜砂良一一飛曹は搭乗機不調のため引き返す。

《1月5日の連合国側艦艇の被害》
損傷:11隻
護衛空母「マニラ・ベイ」(大破/1機命中、1機至近 戦死15名、負傷51名)[第十八金剛隊と推定される]
護衛空母「サボ・アイランド」(小破/1機至近)[第十八金剛隊と推定される]
重巡洋艦「ルイスビル」(大破/1機命中 戦死1名、負傷58名)
駆逐艦「ヘルム」(小破/1機至近 負傷者9名)
護衛駆逐艦「スタッフォード」(中破/1機命中 戦死2名、負傷12名)
水上機母艦「オルカ」(小破/1機至近)
掃海艇「スクリナイジ」(不明/1機命中)
艦隊曳船「アパチェ」(小破/1機至近 負傷3名)
歩兵上陸艇(大破/1機命中 戦死2名、負傷30名)
豪重巡洋艦「オーストラリア」(中破/1機命中 戦死25名、負傷30名)2回目
豪駆逐艦「アランタ」(不明/1機至近 戦死2名、負傷4名)

昭和20年1月6日

「第二十三金剛隊」
【編成】
爆装零戦9機/直掩零戦5機/戦果確認彗星1機

第一隊
加藤米男中尉
小池富士夫一飛曹
倉松房太二飛曹
井上義輝二飛曹

第二隊
綿引芳男中尉
園田勇中尉
南里昭敏上飛曹
佐々木輝雄一飛曹

直掩隊
大森茂中尉
小玉酉治上飛曹
平島仁中尉
玉腰俊光一飛曹

誘導隊
石井隆上飛曹
奥居一郎上飛曹

【経過】
1600 ニコルス基地を発進。
 〔爆装零戦1/直掩零戦1機は発進取り止めか引き返す?=要調査〕
 イバ沖を北進中の攻略部隊を発見、8機が突入に成功。

【戦果】
艦型不詳の4隻を撃沈、中型輸送船1隻を撃破したと報告。


「第二十金剛隊」
【編成】
爆装零戦5機/戦果確認彗星1機

第一隊
中野勇三少尉
後藤喜一上飛曹
谷内義之上飛曹

第二隊
中尾邦為中尉
千原昌彦上飛曹

戦果確認機
彗星1機

【経過】
1655 マバラカット基地を発進。
1750 サンフェルナンド沖の艦船群を発見、突入。
1805 第二波が突入。
 戦果確認機以外は全機突入。

【戦果】
戦艦1隻、巡洋艦1隻大火災、輸送船3隻大火災、轟沈概ね確実。

【1月6日の総合戦果】
《連合軍側記録》
沈没・掃海駆逐艦「ロング」1機命中、2機至近(戦死1名、負傷35名)
中破・戦艦「ニューメキシコ」1機命中(戦死36名、負傷87名)
中破・戦艦「カルフォル二ア」1機命中(戦死、負傷共に多数)
甚大・重巡洋艦「ルイスビル」2機命中(戦死多数、負傷126名)*2回目
中破・重巡洋艦「ミネアポリス」1機命中
中破・豪重巡洋艦「オーストラリア」1機命中(戦死14名、負傷26名)*3回目
甚大・軽巡洋艦「コロンビア」1機命中、1機至近
中破・駆逐艦「ニューコム」1機至近(戦死2名、負傷15名)
中破・駆逐艦「アレン・M・サムナー」1機命中(戦死14名、負傷29名)
大破・駆逐艦「ウォーク」1機命中(戦死13名、負傷34名)
大破・駆逐艦「オブライエン」1機命中
大破・駆逐艦「ローリー」1機命中
大破・駆逐艦「リチャード・P・リーリィ」1機命中
中破・高速掃海艇「ポップキンズ」1機命中
大破・上陸用高速輸送船「ブルックス」1機命中
大破・掃海駆逐艦「サウザート」1機命中
中破・水上機母艦1機命中


【昭和20年1月5日の攻撃による戦死者】
「第十九金剛隊」13名
大尉   青野 豊   海兵70期   愛媛  二〇一空・神武隊
上飛曹 眞崎義男  乙飛12期   佐賀  二〇一空・神武隊
上飛曹 串原麟八  乙飛12期   長野  二〇一空・神武隊
二飛曹 青野国輝  丙飛特14期 愛媛  二〇一空・神武隊
上飛曹 伊藤勝美  乙飛11期   島根  二〇一空・神武隊
飛長   和田可臣  特乙2期    秋田  二〇一空・神武隊
上飛曹 山田正文  乙飛16期   山梨  二〇一空・神武隊
中尉   福山正通  海兵72期   奈良  二〇一空
中尉   富沢幸光  予備13前期 北海道 二〇一空      北海道師範
中尉   永富雅夫  予備13前期 大分  二〇一空      関西学院
二飛曹 黒木典次  丙飛特11期 鹿児島 二〇一空
中尉   山下省治  予備13前期 福岡  二〇一空      西南学院
中尉   磯部 豊   予備13前期 愛知  二〇一空      島根高工

【昭和20年1月6日の攻撃による戦死者】
「第二十金剛隊」5名
少尉   中野勇三  予備13前期 新潟  二〇一空・戦三一六 米沢高工
上飛曹 後藤喜一  乙飛16期   群馬  二〇一空・戦三一六
上飛曹 谷内善之  丙飛13期   富山  二〇一空・戦三一六
中尉   中尾邦為  予備13前期 富山  二〇一空・神武隊   浜松高工
上飛曹 千原昌彦  乙飛16期   和歌山 二〇一空

「第二十三金剛隊」14名
中尉   加藤米男  予備13前期 東京  二〇一空      東京二師範
一飛曹 小池富士夫 甲飛11期   東京  二〇一空・戦三一六
二飛曹 倉松房太  丙飛16期   福島  二〇一空
二飛曹 井上義輝  特乙1期    福岡  二〇一空・戦三一六
中尉   綿引芳男  予備13前期 茨城  二〇一空・神武隊  茨城師範
中尉   園田  勇  海機53期   兵庫  二〇一空
上飛曹 南里昭敏  甲飛8期    福岡  二〇一空・神武隊
一飛曹 佐々木輝雄 丙飛得11期 愛知  二〇一空
中尉   大森 茂   海兵72期   宮城  二〇一空
上飛曹 小玉酉治  甲飛8期    秋田  二〇一空・神武隊
中尉   平島 仁   予備13前期 千葉  二〇一空        専修大学
一飛曹 玉腰俊光  丙飛17期   愛知  二〇一空
上飛曹 石井 隆   乙飛16期   兵庫  二〇一空・神武隊
上飛曹 奥居一郎  甲飛9期    滋賀  二〇一空・神武隊



*「航空戦史雑想ノート」に掲載していた原稿を一部改訂したものです。

[筆者注:調査未完のため、今後、大幅に加筆・改訂を予定しております]



[参考資料]
資料1 「海軍特別攻撃隊」 奥宮正武 航空戦史シリーズ ㈱朝日ソノラマ(1992.7:第4刷)
資料2 「あゝ神風特攻隊」 安延多計夫 光人社NF文庫 ㈱光人社(1995.12)
資料3 「神風特別攻撃隊」 押尾一彦 モデルアート11月号臨時増刊 ㈲モデルアート社    (1995.11)
資料4 「散る桜 残る桜」 甲飛十期会 非売品 (1972.6)
資料5 「特攻の日“発進命令”十六機の精鋭に達せず」 藤田 昇 雑誌「丸」昭和51年2月号 ㈱光人社(1976.2)
資料6 「日本海軍戦闘機隊」 改訂増補版 監修 秦 郁彦 編集 伊沢保穂 航空情報別冊 ㈱酣燈社(1975.10)
資料7 「零戦特攻」 角田和男 航空戦史シリーズ ㈱朝日ソノラマ (1994.6:第1刷)
資料8 「悲運の精鋭“特攻二〇一空”始末記」 津地多嘉生 雑誌「丸」昭和48年6月号 ㈱光人社(1973.6)
資料9 「ドキュメント神風 上・下巻」D・ウォーナー/P・ウォーナー著 妹尾作太郎訳 ㈱時事通信社 (1982.7)




 
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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

山中一造さま
ご訪問下さりありがとうございます。
返信が遅れ申し訳ありませんでした。
ご質問の件ですが、船津安男中尉、井上啓中尉の所属した第十八金剛隊は、昭和20年1月15日の1557にマバラカットを出撃。攻撃目標はルバング島西方北上中の大攻略部隊となっております。
その内、時間が取れたら第十五以降の金剛隊を掲載するつもりです。原稿は出来ているのですが、推敲や校正する時間が取れません。
今しばらくお待ち下さい。

18金剛隊の編成

船津安男中尉、石井敬中尉の出発地・戦死場所お知らせ願います。山中

18金剛隊の編成

18金剛隊船津安男中尉・群馬、井上敬中尉・鹿児島出発基地、戦死場所等こ連絡下さい。山中

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Author:pico3298

滅亡して約60年たつ大日本帝国陸海軍の航空戦史を研究しています。
掲載する記事については、筆者として感情を移入せず、事実のみを積み重ねていくつもりです。専門用語や特殊な用語、略語が多く読みにくいでしょうが、ご一読下さい。
 
*当ブログはアメーバブログにて作成している「航空戦史雑想ノート」の増補改訂版です。
 
【お願い】
当ブログは筆者の個人的な見解です。掲載記事の無断転載と営利目的での使用はご遠慮下さい。

【pico3298の座右の銘】
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